前田拓郎法律事務所にて、お客様からご相談いただいたご相談の解決事例をご紹介いたします。
今回は、クラウドファンディングを活用したVRChat上でのイベント開催のサポートについてです。
ご相談内容
『REALとVRをアナログゲームでつなぐ!』を理念に活動する、一般社団法人REARV(リアーヴ)・様より、ご相談いただきました。

メタバース空間でイベントを開催するために、クラウドファンディングの実施を検討していました。
クラウドファンディングを利用するにあたって、資金を集めどのようにリターンや広告をすれば良いのかをご相談しました。弁護士からみて、どのように対応すればイベントを問題無く成功へ導けるのか、その他各所との契約周りで注意することを教えてほしい。
VRガンナガンVer.2.0 クラウドファンディング概要
大人気ボードゲーム「ガンナガン」をVRChat上で体験できる「VRガンナガン」を制作。
バーチャルパーティー社が運営するVR専門クラウドファンディングサイト「VazaR Rocket」にて、「VRガンナガン」に拡張「ガンナガン OVERHEAT」を実装するため、「VRガンナガンVer.2.0 CF」を開催。2023年12月26日の開始からわずか1時間で目標金額である100万円以上の金額を調達した。
(プレスリリースより概要を抜粋)

今回のご相談のポイント
1.クラウドファンディングの実施についてのポイント
クラウドファンディングの形態には様々な種類があります。大きく分けて、3つに分類されます。
- 購入型:ファンディングの参加者に物理的な返礼品(リターン)を提供する
- 寄付型:ファンディングの参加者に対し、見返りを渡さず寄付形式でウェプサイト上で寄付を募り,寄付者向けにニュースレターを送付する等の方法で報告を行う
- 投資型:運営会社を通じて事業者が発行する株式を購人したり投資家と事業者との間で匿名組合契約を締結し,出資を行う
クラウドファンディングを行う参加者たちの性質やプロジェクトの性質を勘案して、どの型がよいのかを検討する必要がありました。今回はイベント及び返礼品としてアバターやオブジェクトをリターンで返す購入型を選択しました。
2.イベントの開催にあたりステークホルダーとの関係調整
イベントを実施するにあたって、クラウドファンディングするコンテンツの権利者及びクラウドファンディングをするプラットフォームといったステークホルダーと権利関係の寮生、許諾の範囲、返礼品の選択内容、クラウドファンディングで集まった金銭の分配といった条件を決める必要があります。
本件ではこれらのステークホルダーをもれなく選定し、リターンを外部発注するクリエイターとの契約内容についても契約書で取り交わすことにしました。
3.クラウドファンディングとイベント開催に関する契約内容の決定
クラウドファンディングについてはイベントによる告知が重要です。
告知の期間や告知によるプレゼンの文章の内容、告知媒体などについてもクライアントと話し合いを行い、クライアントのニーズがかなう形で対応いたしました。
具体的な文面はクラウドファンディングの紹介文に掲載したほか、X(Twitter)やそのたのSNS、VRSNSなどを用いて宣伝活動をしました。
事案を成功に導いたアドバイス
誰が権利を持っているのか、どう使わせてもらうのかを明確にしておくことが、クラウドファンディングを始めとしたイベント開催では重要となります。
商用利用の有無を伝え、利益配分の調整は版元と必ず必要です。
ステークホルダーの把握、関係者との利益で不利益が起きないように関係者や権利者に対しどういう企画でクラウドファンディングを行うのかをきちんと説明して納得いただけることが重要です。
1.イベント開催に向けての権利調整と契約書
イベントに用いるコンテンツの範囲をより詳細にイメージして、権利処理に落とし込むことが重要です。
金銭を扱うため、かかる費用の内訳や配分を明確にして、細かい項目をしっかり把握しましょう。
- 権利許諾の範囲
- アバター、アクセサリ、その他のオブジェクトの制作についての合意
- クラウドファンディングの資金の分配表
- リターンリストについての確認
- クラウドファンディングの目的達成後実施する企画などのプランの説明。
2.クラウドファンディングプラットフォームの規約・契約内容の確認
プラットフォームの規約に抵触しない表現や宣伝方法を考える必要があります。
プラットフォームによって規約は異なるため、宣伝方法に拘束がある場合は注意をしましょう。規約を前提に組み立てる必要があります。
- プラットフォームに記載できる宣伝内容の確認
- プラットフォームの分配料の割合の確認
- プラットフォーム上の返礼品リストの告知体制、宣伝体制の確認
- 返礼品
3.イベント告知の注意点
今回の返礼品となるコンテンツは、VR空間で利用できるアバターやアクセサリーのコンテンツの提供でした。
この場合、アバターの利用範囲など改変や利用に関して詰めなければいけないことがあるため、「VN3ライセンス」などを利用しました。
※VN3ライセンス
アバターの利用に用いられる有志で作られた利用規約の雛形のこと。
参照:https://www.vn3.org/
どこまで認めて、認めないのか、限定品の扱いなどは、クラファンに際して決める必要があります。
→限定、特別などの表現の利用については、事実と異なると優良誤認になる場合があるので、告知の仕方の重要性・チェックをします。
例えば、特別という表記の注意:企画やイベントが特別ですと表記する場合、どうして特別と言えるのか相応の理由が必要
みなさまへのアドバイス
本件のように、クラウドファンディングその他のイベントを行うにはいくつか注意しなければならない点があります。
1.VRChat上でイベントを開催する時に知っておきたい権利・法律上のポイント
・VRChat 営利活動について
VRChat上において営利活動をする場合においては、VRChatの問い合わせ窓口から同意を求めておく申し込みが必要になります。
場合によっては、VRChatのクリエイタ-エコノミーシステムの利用を促されることもあるのでVRChat側に対して営利スキームの説明が必要になることもある。
参照:https://hello.vrchat.com/legal/waiver
・VRChatとクラウドファンディングで収益をあげるには
収益の上げ方としてはアバター販売などの場合、boothを使うことが一般的である。
主にゲームに用いるコンテンツは主催(依頼主)側で販売し、VRChatやその他のVR空間で遊ぶギミックを使うことが多い。
その際VRプラットフォームの企画にアバターなどのコンテンツが合致しているかどうかをチェックする必要がある。
・イベントにゲストを呼ぶ際は出演契約やアーカイブ利用など利用範囲の同意をとる
イベントを開催する場合、参加者やゲストがいる場合には出演契約を締結するのがベターである。
無償ででも出演イベントをアーカイブで動画利用する場合は、出演者に実演家としての権利が帰属するので契約書でその利用
2.アバターの利用範囲・条件の取り決め
・返礼品について
返礼品はクラウドファンディングの金銭を集める重要な要素になる一方で、あまり豪華な返礼品を渡すとクラウドファンディングの実際の収益が少なくなってしまうので費用と収益のバランスを考えた返礼品を考える必要がある。
・アバターそのものの利用範囲の話
アバターそのものの利用範囲については版元の意向をきちんと確認したうえで、改変などの条件についてどこまで許諾するのか、クラウドファンディングの条件以外の利用についてどこまで許諾するのかをきちんと明確に定めたほうがよい。
3.イベント参加者への対応、イベントでの炎上・トラブルを避けるために
・参加者への告知については誤認を招かない表現で行う必要がある
特に返礼品やプレゼントの告知、イベント参加条件などについては疑義を招かない表示をしないとイベントの後から参加者ないし参加希望者からクレームを言われるリスクがある。
・参加者や演者との間で守るべきルールや規約を取り決めておく
イベント参加者とのトラブルを事前に防止するには参加に際しての注意書きとして規約を作り、それに同意した人だけ参加できる仕組みを作っておくと、そのあとの対応についても規約に従って処理ができるので重要です。
例:アンチハラスメントポリシー、イベント参加に関するルールの提示 など…。
類似の案件例
参考例1.クラウドファンディングで地域活性化・町おこしを目的としたイベントを行いたいとき
回答
地域活性化や町おこしを目的としたクラウドファンディングをする場合は、クラウドファンディングでもらった資金を使う使途を明確にすることが大事です。
その上で、購買型であれば返礼品、寄付型であれば収集資金の会計書類などを見せることで参加者に納得を募ることが大事です。

告知に際しては開催するイベントがあることも想定されます。そのイベントが同地域活性につながるのかをよく検討し、クラウドファンディングとの一体性があるのかなどを検討することも大事です。
クラウドファンディングに用いるプラットフォームも複数ありますので、それらを比較検討し目的に一番合致したプラットフォームを利用することがおすすめです。
参考例2.VR空間上でオンラインイベントを行いたいときどうすればいいか?
気をつけることや参加者対応、確認すべきこと
回答
〇一般的な準備
- 参加者や参加空間・時間帯の整理
- 一般に応募を募るときは応募期間をどの程度設けるか、イベント実施時期から逆算して準備する必要があります。
- コンテンツを使うときは権利者との権利処理、出演者とは出演契約、ワールドやオブジェクト、アバターを利用する場合はそれらの作者との契約や交渉、利用条件の確認などが必要です。
〇参加者とのトラブル回避
- 参加者に対してはあらかじめ利用規約を制定し、禁止事項と可能な行為を明確に告知することが重要です。特に何らかの得点を付与する場合はそれらの付与について不公平な事態を招かないように工夫する必要があります。
- 当日や事後のトラブルについても基本的に規約に記載してあれば規約に従い、規約にないトラブルについては先方の言い分を聞いたうえで対応します。もし不当な要求をされた場合は警察や弁護士に相談しましょう。
法務のトラブルでお悩みの皆さま、どうぞお気軽にご相談ください
前田拓郎法律事務所では、企業・個人問わず、みなさまがやりたいことに集中できるよう伴走的に法務のサポートを行う「二人三脚の顧問弁護士プラン」をご用意しています。
単発のご相談も受け付けておりますので、ぜひ気になることがありましたら問題が大きくなる前に、お気軽にお問い合わせくださいませ。